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転写
ブラックホールは、宇宙最強で星全体を原子レベルにまでバラバラにできる程です。
これだけでも充分に恐ろしいですが、もっと強大でブラックな性質があるのです。宇宙そのものを消し去ってしまうような…
[音楽]
「ブラックホールの簡単なまとめ」
ブラックホールは、小さな空間に非常に多い物質が集中している時に現れます。
その中心では重力がほぼ無限に強く、近づき過ぎた物は
素粒子に分解されます
光ですらブラックホールを脱出することはできないため、我々はそれを黒っぽい球として認識するのです。
あなたがもしブラックホールに落ちて行ったとしても、その境界(事象の地平面)を超えるまでは何も悪いことは起きないでしょう。
巨大な滝がある川で泳ぐことを想像してみてください。
まだ滝が見えていなくても、あなたがプカプカしてるうちに、いつの間にか流れがどんどん速くなります。
たとえ気づかなかったとしても、あなたが取り返しのつかない地点までは、安全に泳げるでしょう
しかし、そこを一度こえたら、あなたがどんなに速く泳ごうとも、流されて帰らぬ人になります。
一度近づき過ぎたら、何もブラックホールの滝を逃れることはできません
この境界によって、ブラックホールは外界と完全に切り離されています。二度と戻らぬ覚悟なしには、到達できないのです。
だから、ブラックホールの内部で本当に何が起こっているのかは、はっきりしないのです。
しかし、その境界ギリギリのところで起こっていることについては多少知られています。
ブラックホールは、火にかけた鍋が水を蒸気として失うように、その質量を放射して失います。
これは、ホーキング放射と呼ばれています。
ブラックホールは、その質量のうち非常に小さな量を、常に失います
これは信じられないほど遅い過程で、
私たちの太陽と同じ質量のブラックホールがその質量の0.0000001%を失うのに百阿僧祇年かかります
これは絶えず起こっていて、それが進むにつれて、どんどん速くなります
宇宙の最後の星が死んでから数兆年もたった、遠い遠い未来では
ブラックホールは、どんどん蒸発して小さくなり、最後には僅かばかりの放射線になって消えてしまうのです。
しかし、ブラックホールが消滅する過程で根本的なもの(情報)が消えてしまう可能性があるため、これは問題です。
2 - 情報とは
情報は、形のあるものではなく、しばしば、粒子の並び方の状態だとされます。それはどういうことでしょうか?
炭素原子の集まりを想像してみてください。ある特定の方法で配置すると石炭になります
別の方法だと、ダイヤモンドになります
原子も同様で、違いを生むのは情報です。これをより複雑にし、さらにいくつかの原子に追加すれば
バナナの出来上がりです。
原子をまた並べ替えると、こんどはリスになりました
宇宙のすべての物の基本的な素は
同じであり、鳥や岩やコーヒーカップのどれであろうと、彼らの知ったことではありません
情報がなければ宇宙のすべての物が同じになってしまいます。
量子力学の理論によれば、情報は不滅です。
形は変われど失われることはありません。
例えば、紙を燃やせば灰になります。
その灰が再び紙に戻ることはありません
しかし、もし灰の中から注意深く一つ残らず炭素原子を集めて炎から放射される煙と熱の正確な性質を測定できたとしたら
理論的には、紙を再構築することができます。
紙の情報は失われたわけではなく、あいかわらず宇宙に存在しています。
読みにくくなっただけです。
もし、何らかの方法で宇宙の全ての原子や素粒子や波の放射を測定できたとすれば、
現存する全ての情報を取得して追跡できるはずです。
仮説上、ビッグバン以来の宇宙の歴史全体を見ることができるのです。
ここでブラックホールが、引っ掛けてきます
情報からは、物事が互いにどう異なっているか、そして何が何だったかがわかります。
ブラックホールはその逆です。違うものをもってきて平等にします。情報を破壊してしまうのです。
これは、情報の逆説を生み出し、深刻な問題になります。
情報の逆説
情報が失われることは決してないということは、物理学のすべての法則にとって基本です
存在するかどうかなど、情報がなければ
全て絶対ではなくなります。
現実を理解する上では、絶対が必要です
このパラドックスをどうしたものでしょうか?
いくつかの可能性があります。
1)情報は失われる
修復不可能、かつ永遠に
そうなると、これまでの物理法則が台無しになって
今までうまくいってたものの多くを捨てて、最初からやり直しになるということです。
そんな新しい物理法則がどんなものか、何を意味するのかなど誰にもわかりません。
ちょっとおっかないですが、ワクワクもします。
2)情報は隠れている
もしかすると、ブラックホール一部がが分離して、赤ちゃん宇宙を形成し
情報は、私たちが観察したり操作したりできない、この新しい奇妙な場所に転送されますが
厳密には失われていません。
それはあなたがアクセスすることができない壊れたハードドライブにすべてのあなたの家族の写真が入っているようなものです。
確かに完全に消されてはいないという点では素敵ですが、あまり有用ではありません。
それとももしかすると、ブラックホールは、一生の最後に完全には消滅せず、
小さな情報ダイヤモンドが残っていて
ピエロの車が無限の情報ピエロだらけになっているみたいな…
じつは、第三の可能性があります
結局のところ、情報は消えても隠れてもいません
もしかしたら、我々の見方が全体的に間違っていただけかもしれません。
ブラックホールが情報を捕捉して、後からそれを消してしまうかもしれないことは知っていますが、それまでの間どうするかについては考えてきませんでした。
ブラックホールは、情報をどこに保存しているのでしょうか?
宇宙のハウスキーピング
汚れた洗濯物でブラックホールを作成してみましょう
まず、洗濯物かごで部屋を埋めていきます:洗濯物が多いほど、かごもたくさん部屋に必要ですね。
しかし、いずれかは、かごが一つ残らずいっぱいになって、部屋も完全にパンパンで、靴下の一つも入らなくなります。
部屋は満杯でござる。
それでも無理やりたくさんのエネルギーを使って靴下をブッこんだとすれば、部屋は崩れてブラックホールになります。
しかし、部屋自体の容量は変わっていないので、これ以上情報の為に物を詰め込むことは依然、不可能です。
それでも更に洗濯物を突っ込んだらどうなるでしょうか?
新たな情報のための場所を作るために部屋自体が、少し大きくなります。
実はブラックホールは情報を投げ込まれると、ちょいとばかり表面が大きくなります。
つまり、情報が多いほど、表面積が大きいのです。
情報は、池に石を投げ込んだときのように表現されます。
石が底に沈んだら、もうみえません。
しかし、池の表面が波立っていることから何かが池に入ったことはわかります。
ブラックホールで一番小さいものでも、その表面上に人類の歴史上の全てのデータより多くの情報を、格納することができます
それは、信じられないほど小さな領域に情報を保存することで可能になります。
ブラックホールは、究極のハードドライブです
これは、紙の本を電子書籍にするのに、ちょっと似ています。これら2つは全く違って見えますが
その内容は同じです。違う方法で符号化され記録されているだけです。
ブラックホールが星や惑星を飲み込む様は、図書館をスキャナにかけているように見えなくもありません。
この説は、ホログラフィック原理と呼ばれます。しかし、これが正しいならば、我々は知ってると思っていた宇宙すべてが間違っていたことになります。
宇宙はホログラム
もし情報が本当にブラックホールのみかけの地平面上に保存されているのだとしたら、
ホーキング放射が情報について知る機会をがあり
そこで符号化され、伝播することができます。
だから、ブラックホールが消えていっても情報は失われていませんので
我々は物理学をやり直す必要はありません。 情報の逆説は解決しました。
しかし私達の現実の理解は、それでも根本的に変えるしかありません。
もしブラックホールに落ちる全てのものがその事象の地平面上に保存されている場合、基本的に三次元のものが、平らな表面上に符号化されていることを意味します
そんな仕組みに、もう名前がついてます。 ホログラムです。
ホログラムは、3D写真のようなもので、三次元画像を符号化して平らなプラスチックに符号化するのです。
ブラックホールは、その内部のすべてが事象の地平面上に符号化されるので、ホログラムのようなものだと言えます。
ブラックホール内部の人は、普通の三次元の世界を体験しますが
外の私たちにとっては、彼らはブラックホールの表面の平らな画像です。
この結論は直感に反しているようですが、ちょっと聞いてください。
ブラックホールは非常に極端な物体ですが、他の物と同じ規則に縛られています。
ですから、二次元と三次元の間のこのブッ飛んだ二重性がブラックホールに許されるなら、あなたを含む宇宙全体に許容されるかも知れないのです。
ブラックホールの中の人は、自分が平らな表面上に符号化されていることに気付かないでしょうから
私たちとて、同じ運命なのかもしれません。 あなたも実は宇宙の果の平らな面に平たくなってるかも知れないのです。
この背後にある科学は複雑で、本当に奇妙で、遊べるおもちゃ宇宙と弦理論と質量がたくさんついてきます。
この話は、別のビデオでやりましょう。
とにかく、宇宙の本質については実のところ、我々は奇妙で複雑だということを知っているだけで、
それを理解するためには、もっと物理学が必要なのです。
しかし、ブラックホールは現実の本質を理解するための鍵なのかもしれません。
このビデオは、アレサンドロ・スフォンドリーニの科学的助言とスイス国立科学財団のサポートによって実現しました。