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あなたの周りの全ては 幻想なのかもしれない

知っての通り 宇宙は140億年前に誕生し 銀河や星 地球 そして あなたを生み出した

だが 違うかもしれない

あなたを含む全てのものは 本当は存在しておらず 死んだ宇宙の見た 夢なのかもしれない

まさか と思うかもしれないが これは最良の宇宙論が導く結論なのかも

OK 少しやり過ぎた 基本から始めよう

まず 3つの概念を理解する必要がある

1. 時間の矢

過去と未来を 区別するものはなにか

水の入った容器にインクを一滴垂らすと インクは広がるが その逆は決してない

インクが自然に濃縮され 再び一滴にはならない

時間は常時一方向に 流れているよう 見える

だが 顕微鏡を見ると ランダムに衝突する分子が 見えるだけで 規則はなく 前進も後退もない

個々の動きは全て 逆に発生する可能性がある

我々は物事を一方向に進める 時間の矢のような ものを知覚するが なぜそう思うのか

実は この時間の矢は 規則ではなく 確率なのだ

インク分子が広がるとき 空間をスロットと捉えると インクとスロットの組み合わせは 大量にある

宝くじを大量に買っても 殆ど外れるように

インク分子が容器を満たす確率は 一点に集中するより はるかに高い

なので インクが再び集合することは禁止されておらず 極めて起きにくいだけだ

発生には10の千垓(がい)乗年 待つ必要がある 100,000,000,000,000,000,000,000年だ

これだけ待った場合 最終的には偶然によって 再び赤い塊が現れる

実際 十分な時間があれば どんな形も現れる 例えば 小さく赤い ふやけた脳なんかも

OK 2番のアイデアに移ろう

2. 宇宙の遠い未来

宇宙は140億年前に誕生し 膨張と進化を続けながら 無数の銀河や物を生み出した

言い換えると 宇宙は水の容器で 多くのインクが 時間の矢に従い動いている

だが宇宙は変化のない容器ではない ダークエネルギーにより 膨張しているようだ

基本的に 中身は どんどん薄まっていく

約100兆年後 最後の星が滅びる

そうなれば 殆どなにも起こらなくなるだろう 例え どんなに時が経とうともだ

最終的に宇宙は ダークエネルギーが支配する 物質のない 空間が膨張するだけの場所になるだろう

これは究極の死と思うかもしれないが ダークエネルギーは驚きの最後がある

ダークエネルギーが支配する宇宙は 空間が劇的に膨張し 周囲に “宇宙の地平線” ができ

この地平線を越えると 光さえも届かなくなる

現実的には 宇宙は通行不能の地平線に囲まれた 幅360億光年の 有限大の容器になってしまうのだ

このような宇宙容器は 裏返したブラックホールに似ている

ブラックホールは “ホーキング放射” という 量子効果による 微小粒子を出しており

“宇宙の地平線” も同じだ

この放射線は 宇宙を 再び粒子で満たすことになる

数字で示せないほど遠い未来 我々は真の最終状態に到達したのだ

宇宙は極めて低温の粒子で満たされた 閉じた空間になっている

粒子は温度があるので ランダムに動く

言い換えると 水とインクで満たされた容器と 無限の時があるということだ

また面白くなりそうだ

3. タイピストのサルと偽物の宇宙

永遠とは長い 長い時間だ

だから全く起きそうで ないことも 起こりうる

粒子は無数にぶつかり合い あらゆる組み合わせが生み出される

これはサルがキーを打つのに似て 殆どはめちゃくちゃになるが

十分な時間があれば ハムレットを さらに時間をかければ エミネムすら書くだろう

粒子がランダムパターンを生成し続けるなら なにができるだろうか

まあ 惑星が生まれる可能性はある

または 銀河が

あるいは 複数すら

つまり 宇宙はもう終わっていて これは “出現した宇宙” なのかもしれない

ビッグバンから進化した宇宙ではなく 純粋に偶然の産物というわけだ

そして インクの一滴と同様 また溶けてしまうのかもしれない

これらはランダムだから バグがあるかもしれない

恐竜がカタツムリに乗っていたり

星はブルーベリーで でき

変な帽子をしている かもしれない

もしかしたら物理学最大の謎は 偶然のバグに 過ぎないのかもしれない

だが 死んだ宇宙では 全てが均等に起こるわけではない

小変動は大変動より 起こりやすい

惑星は銀河より 起きやすい

だが より起きやすいもの

それは 人の脳だ

あなたは実はただの脳なのか？

“我思う 故に我あり” しかし自分以外は…？

結局 周りの世界とは 脳の認識が作り出しているにすぎない

つまり あなたはここが現実だと思っているだろうが 宇宙インク理論に従えば 単体の脳なのかもしれない

死した宇宙に 完全な記憶と ともに 出現しただけの…

これはかなり奇妙な概念だが 計算すると かなり確かだ

生きた宇宙の生身の脳と 死んだ宇宙の裸の脳の 数を比べてみよう

実際より大きく考えよう 地球圏に100京の人が住むとする

そして 宇宙すべての星に 同数の人が住むなら

足し合わせると 存在するであろう 脳の数は10の41乗個になる

だが とにかく時間が無限にあるであろう 死んだ宇宙では 出現する裸の脳の数は…無限だ

つまり あなたは実際の人間であるより 浮遊脳である確率が ずっと大きいだけでなく

その差は考えられないほど大きく 意味のある比較すらできない

ただの数は無限大と比較できない

つまり あなたは 瞬間だけ存在し 過ぎ去り また別の瞬間に存在する 浮遊脳かもしれない

順序すら違い 人生は逆に進んでいるのに 気づけないのかもしれない

もう何兆回も 生きたかもしれない

あなたは死んだ宇宙が見た ただの夢なのかもしれない

本当？ 本当なの？

んー たぶん違う

まず いくつか抜け道がある

例えば ダークエネルギーは想像と異なり 別の未来を導く可能性がある

あるいは 死んだ宇宙は 無限の時があっても 脳を創造できないかもしれない

または 宇宙の死に様は 別かもしれない

現状の宇宙論は 今の話が本物かどうか 心配できるほどの レベルにない

抜け穴はさておき あなたが浮遊脳であれば そこの物理法則はランダムで 現実と関わりを持たない

だがそれを使い 自らを浮遊脳だと証明した

つまり 自分のことを浮遊脳だと信じていても 違うかもしれないことは 認める必要がある

OK この幻覚じみた旅は 宇宙について 何か教えてくれるのかもしれないが

結局は 物理の可能性を学ぶ 奇妙な練習にすぎない

生身の脳の可能性を 試す練習 なので

心配しないで あなたは死んだ宇宙の夢ではない

たぶんね

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