現実の真の本質は何ですか? | Kurzgesagt

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宇宙の究極の説明とは なんだろう?

この疑問に答えるため

人類は世界に関する さまざまな仮説を立てた

いろいろ検証するうちに 取捨選択が進んだ

でも理解が進むほど

仮説は複雑で 異様なものになり

特にいくつかの理論は

あまりに複雑で理解が 難しくなってしまった

たとえばひも理論のように

有名で、物議をかもし、 いろいろ誤解されている

「万物理論」もある

結局のところ正しいのか?

それとも棄却すべきアイデアなのか?

宇宙の真の性質を知るには

モノにずっと近づいて 観察する必要がある

塵の中の驚異の景観を

奇怪な生物を拡大し

蛋白ロボットや

それらを構成する分子や

それらを構成する さらに小さなものは

原子だ

かつては原子が現実の 究極の層だと考えられたが

原子どうしを強く ぶつけることで

それ以上分割できないもの

素粒子を発見した

ところが それにも問題が

あまりに小さくて 見ることができない

見る、ということを 考えてみよう

何かを見るためには 光、つまり電磁波が必要だ

この波がモノの 表面に当たり

反射したものが眼に入る

この波が対象の情報を運ぶ

脳はこれにより イメージを作る

なので、なんらかの相互作用 抜きにモノを見ることはできない

見ることは触れることであり、 能動的な過程なのだ

ふつうはそれでも 何の問題もない

ところが素粒子は あまりに小さく

見るのに使う電磁波が

大きすぎることになる

可視光線では 素通りしてしまう

この問題を解決するために

使う電磁波の波長を短くすると

エネルギーが大きくなる

大きなエネルギーで粒子に触れると

それを変化させてしまう

粒子を見ることで、 それを変えてしまう

我々には素粒子を 正確に測定できない

この事実は重要なので 名前がついている

ハイゼンベルグの 不確定性原理だ

量子力学の基本である

すると素粒子はどう見えるのか

その性質は?

分からない

しいて観察するなら

ぼやけた球形を 見ることはできるが

粒子そのものを見る ことはできない

存在を知ることが できるだけだ

でもそうすると

素粒子の科学はどうなるのか

往々にしてそうなるように 新しい理論は

数学的な虚構

すなわち点粒子理論となった

粒子は空間の中の点だと いうことになった

電子は電荷と 質量を持つ点だ

個々の素粒子は 見分けがつかない

こうして物理学者は 素粒子を定義して

相互作用を計算できる ようになった

これは量子場理論と呼ばれ、 多くの問題を解決した

素粒子物理学の標準モデルは すべてこれを土台にしており

多くの予測が導かれた

たとえば電子の性質が

検証された結果 その誤差は

0,0000000000002 % 以下だった

なので、素粒子はほんとは 点ではないのだが

あたかも点のように 扱うことで

宇宙のかなりよい 描像を得たのである

この理論は科学を 進めただけでなく

我々の身の回りの実用技術の 進歩にも寄与した

ところが大きな 問題があった

重力である

量子力学ではすべての力は 粒子によって媒介される

しかしアインシュタインの 一般相対性理論によれば

重力は宇宙の他の力とは違う

宇宙が演劇だとすると

素粒子は俳優だが

重力は舞台背景なのだ

簡単に言うと、重力は 幾何学の理論なのだ

時空そのものの幾何学の

そのためには距離を絶対的な 正確さで記述する必要があるが

量子の世界では物事を正確に 測定する方法はないので

量子力学の中では重力に関する 理論がうまくいかないのだ

新しい粒子を仮定することで 重力を組み込もうとしても

数学的に破綻してしまう

これは大問題だ

重力を量子物理学の標準理論に 組み込めれば

万物理論の完成だ

そこで超賢い人たちが 新しい理論を思いついた

点より複雑なものは何だろうと 考えたのだ

線だ

線あるいはひも

ひも理論の誕生である

ひも理論のエレガントなところは

たくさんの異なる素粒子を

ひもの振動状態の違い として記述したことだ

バイオリンの弦の振動の違いが たくさんの異なる音を生むように

一本のひもがたくさんの 粒子を生むのだ

なにより重要なことは 重力が含まれることだ

ひも理論は宇宙の基本的な 力をすべて統一すると約束した

これは多くの興奮と 誤解を生んだ

ひも理論は一躍 万物理論の候補となった

困ったことに、ひも理論には

多くの付帯条件があった

矛盾のないひも理論を 構成する数学は

3つの空間次元と1つの時間次元を 持つこの宇宙ではうまくゆかない

ひも理論は10次元を要求するのだ

ひも理論が計算するのは 架空の宇宙なのか

そこで余分な6次元を取り除いて この宇宙の記述を試みた

でも誰も成功しなかった

ひも理論が実験で検証できる 予測を生むこともなかった

なので、ひも理論ではこの宇宙の 性質を説明できなかった

この場合、ひも理論は

まったく役立たずだと 言うこともできた

科学は実験と予測に 依拠しているのだから

それができないなら

なぜひもにこだわる 必要があるのか?

それは用い方次第だ

物理学は数学を基礎にしている

2たす2は4だ

どう感じるかに関係なく これは正しい

ひも理論の数学は きちんと働く

それがひも理論が依然として 役に立つ理由だ

クルーズ船を作ることを 考えよう

ところが小さなこぎ船の 設計図しかないとする

そこにはたいへんな 違いがある

エンジンの違い、材料の違い、 スケールの違い

でもこの2つは根本的には同じ

浮くモノだ

だからこぎ船の設計図を 研究することで

クルーズ船を作るうえでの 何かは学べるかもしれない

ひも理論を使うことで

量子重力の疑問のいくつかに 答えられるかも

なにしろ何十年も物理学者を 悩ませてきた疑問なのだから

ブラックホールは どう働くのか

あるいは 情報パラドックスについて

ひも理論は正しい方向を さし示すかもしれない

この精神で用いられたとき

理論物理学者にとってひも理論は 重要なツールとなり

数学や量子の世界の 新しい面を

発見するのに役に立った

なので、ひも理論は

万物理論ではないが

ちょうど点粒子理論のように

すごく役に立つ虚構では あるのかもしれない

宇宙の究極の理論は まだ分からないが

我々は新しい仮説を 考案しつづけ

いつの日かそれを 知りたいものだ

この動画はスイス国立科学財団の 支援を受け

アレッサンドロ・スフォンドリーニの 科学的な助言を得て実現した