象を爆発させる方法 - ライフのサイズ2 | Kurzgesagt

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ビデオ

転写

象をネズミのサイズまで縮めて

ネズミを象のサイズまで大きくしてみよう

それではどうなるか見てみよう

まず、ミニサイズの象はふらふら歩いた後、 倒れて死んでしまいます

体はとても冷たく、数分で凍死します

巨大ネズミは、しばらく苦しんだかと思うと爆発!

そこら中に中身をぶちまけます

なぜでしょう?

その理由は大きさです

我々は、自分の大きさにあわせて 体の仕組みを最適化しています

その前提が変わると 悲惨な最期を迎えます

でも、どうして?

なぜ巨大ネズミは爆発し

ミニサイズの象が凍死なんてことが 起こるのでしょうか?

地球上の生命の基本は細胞です

細胞は種の大きさによって 様々ですが

細胞のサイズ自体は どの生物も極めて似通っています

シロナガスクジラの細胞が ハチドリの細胞より大きい訳ではないのです

ただ、シロナガスクジラは より多くの細胞を持っているのです

細胞は、生命を維持するため様々な働きをします

そのためにエネルギーを必要とします

エネルギーを得るため

動物細胞は食物と酸素を 利用可能な化学エネルギーに変換します

これは、ミトコンドリアの中で行われます

細胞の発電機です

石炭エンジンのようなもので、 ATPと呼ばれる燃料を放出します

それにより、細胞は必要な活動を行うことができます

そしてエンジン同様、 ミトコンドリアは作動中に熱を発生させます

人間の皮膚細胞内では

細胞の温度は摂氏50度に達します

細胞によっては、細胞内のミトコンドリアの数が 2000個に達します

つまり、それらは内部で熱を放出し続ける訳です

生命活動のために、多くの熱が発生し

細胞の数が多いほど、熱の総量も増加します

もし体からこの熱を逃がすことができなければ

内側から加熱調理されるようなもので 死んでしまいます

しかし、これは大きな生物にとっての問題です

巨大化することにより生じる体の変化が原因です

動物には3つの重要な要素があります

体長、皮膚のような表面

そして中身、すなわち臓器

骨格、そして夢と希望

巨大化させている途中では わかりにくいことですが

実のところ、中身は外見以上に 早く巨大化しているのです

肉でできた立方体を想像してみましょう

各辺を2倍のサイズにした場合

表面積と体積も2倍になるわけではありません

実のところ、表面積は4倍に

体積に至っては元のサイズの8倍になります

これが2乗3乗の法則です

そして、これは数十億年にわたり 自然界を悩ませてきたのです

でも、どうしてこれが大きな生物にとって 問題になるのでしょう?

なぜなら、熱は表面からしか放出できないからです

だから、たとえばネズミを 象のサイズまで巨大化した場合

体長は60倍に

熱を逃がすための表面積は3600倍になりますが、

体積は21万6000倍になります

兆をはるかに超える新たな 熱を持ったミトコンドリアで満たされるわけです

当然さらに高温を生じるわけですが

内部で熱が高まるのに それを逃がす皮膚は十分大きくない

巨大ネズミはあっという間に死んでしまいます

しかし、象のような巨大生物は実際には存在します

彼らは、どのように熱を処理しているのでしょう?

まず、彼らは熱をより効率的に排出するために 進化しました

例えば大きく平らな耳 熱を逃がすため、表面積をより大きくしています

しかし十分ではありません

実のところ、自然界はより洗練された 解決方法を編み出しました

象の細胞の活動は、ネズミの細胞の活動より ずっとずっとゆっくりなのです

サイズが大きくなればなるほど、 細胞の活動はゆっくりになる

もし動物を代謝率で比較・分類すると

このように とてもハッキリ見やすいですね

これは100%正確というわけではありませんが

十分実用的です

象は兆を超える石炭オーブンでいっぱいの 巨大な肉でできた袋のようなものです

だから、そのオーブンの活動を 生命を維持するための必要最小限なレベルに抑えます

決してフルパワーでは働かないのです

全体の代謝レベルは低いのです

熱を冷やすのにちょうどよいペースで 活動します

小さな生物はこれとは全く反対に活動 必要があります

小さいということは、小さな体積に大きすぎる表面積を持つということです

細胞内のオーブンの数は十分でなく

生じた熱もあっという間に失います

極端に小さな哺乳類は、極端な解決策に至ります

地球上で最も小さな哺乳類 コビトジャコウネズミを見てみましょう

モグラの一種で、ネズミというよりは ハリネズミに近い種です

体長は4cm

体重1.8gとクリップと同じぐらいしかありません

びっくりするほど小さいのです

彼らは基本すぐに凍えてしまいます

したがって、熱を維持するため 細胞は常にエンジン全開状態です

彼らの小さなオーブンは常に能力限界で働きます

心拍数は1分間に1200回

呼吸は1分間に800回

この生き物は極端にエネルギーを必要とするので

常に食べ続けています

4時間何も食べないと、飢えで死んでしまいます

象が1日あたり体重の4%相当の食事をするのに対し、

コビトジャコウネズミは1日当たり体重の2倍の食料を生存するためだけに必要とします

毎日2000個のビッグマックを食べなければならないと想像してみてください

1分間に1個以上です

最初はいいかもしれませんが すぐに無理になりますね

だから、コビトジャコウネズミと象を 同じ1㎠のサイズにしたと仮定すると

コビトジャコウネズミは 40倍もの食料を必要とするのです

もし象の細胞を

突然コビトジャコウネズミと同じレベルまで 活性化させたら

異常に大量の熱が発生することになり

象の体液は急速に沸騰することになるでしょう

象のパーツを焼き尽くす、蒸気熱のすさまじい爆発力で吹き飛ぶでしょう

実際にはそんなことになる前に 細胞を構成するたんぱく質が変性してしまい

発熱をやめてしまうでしょう

ただ、象がぐずぐずと溶けてしまう映像より 爆発するほうが絵的におもしろいでしょう?

それはともかく 代謝速度の調整はどこでも行われていることです

我々が想像もしないところ 例えば妊娠中の女性

子宮内の赤ん坊は まるで母親の一部であるかのように活動します

細胞単位で同じ代謝率で活動し

母親の臓器として同じ時を刻むのです

それは、個としての人間であるというより 本当に全体の一部となっているのです

そうでなくなるその時まで

赤ん坊が生まれたその瞬間から スイッチが入ります

そしてその内部組織は急速にスピードアップします

生まれてから36時間後には

赤ん坊の細胞は 同じサイズの哺乳類と同じ活動率になります

赤ん坊は文字通り臓器から個としての人間に 数時間で変化します

しかし、大きかろうが小さかろうが とても似通っている点が1つあります

心拍数です

哺乳類は、その生涯にわたる心拍数の総数が ほぼ同じです

約10億回

だから、コビトジャコウネズミと象は 全く違っているけど

生涯刻む心拍数の数は同じなのです

彼らの一生のスピードは全く正反対ですが ある意味同じスピードでもある

このビデオをつくるため大変不純な動機で 象を爆発させてしまいましたが

これで何とかロマンティックな結末になったのでは