太陽の動かし方:恒星エンジン | Kurzgesagt

🎁Amazon Prime 📖Kindle Unlimited 🎧Audible Plus 🎵Amazon Music Unlimited 🌿iHerb 💰Binance

ビデオ

転写

宇宙に静的なものは存在しない。

夜空に浮かぶ天の川銀河では数十億もの星々が周回している

太陽を含むいくつかの星の軌道は

銀河の中心から3万光年を保ち、 2億3千万年で一周している

銀河系の星々の軌道は、息の整ったバレエというより 泥酔者だらけのスケートリンクのようだ

この混沌が銀河を危険な場所にしている

太陽系のご近所も刻々と変化しており

星々は秒間数千kmも移動している

衝突を避けられているのは 単に広大な距離があるからだ

だが、いつか不運が訪れるかもしれない

超新星爆発に巻き込まれたり

通りかかった大質量の天体に引き寄せられて

小惑星が降り注いだりすることもありえる

このような出来事が起こる場合 数百万~数千年前には予測できるはずだ

だが、予測しても打つ手がないだろう、

ただひとつの…

太陽系をまるごと動かしてしまうという手法以外には

太陽系を動かすにステラエンジンが必要だ

ステラエンジンは銀河の中で星を動かす巨大な構造物で

ダイソン球レベルの高度な技術を持つ未来の文明が

数百万年後を見据えて建造するかもしれないものだ

しかし、太陽系にある数十万もの物体を どうやって動かすというのだろう

実はいいニュースがある。他の星を動かす事に関しては無視していい

動かす必要があるのは太陽だけだ

他の星々は重力によってひっついており、 どこに行こうがついてくるのである

ステラエンジンのデザインや仕組みについては 多数のアイディアがある

ここでは、現代の物理学に基づき、理論上は可能な 2つのタイプを取り上げる

最もシンプルなステラエンジンは シュカドフスラスター

巨大な鏡だ

ロケットと同様の原理で動作し

ロケットの燃料のように、太陽から放たれる光子は、運動量により

僅かな推進力を持っている

例えば、宇宙飛行士が懐中電灯を点けると

極めてゆっくりと、体が後方に押し出されるだろう

太陽は懐中電灯よりも活躍が期待できる

作り出す光子が大量だからだ

シュカドフスラスターの基本は 太陽放射の半分を反射して推進力を作ることにある

そしてゆっくりと、太陽を望む方向に押していく

シュカドフスラスターを機能させるには 太陽を周回しないような方法でその位置を固定する必要がある

太陽が引力で引き込もうとするが

太陽放射の押し上げる力で支えられる

鏡はごく軽量となるはずで、

厚さ数ミクロンで反射性のある アルミ合金のような素材になるだろう

鏡の形状も重要だ

巨大な球で太陽を包んではならない

そうすると光が太陽に集まり、加熱させ

他に大量の問題が発生する

パラボラアンテナの形状がいいだろう 多くの光子を同一の方向に返し、推進力を最大化する

日射量の激変により 地球が燃えたり凍ったりしないよう

シュカドフスラスターは 太陽の極点を覆うように作るのが安全だ

これは太陽の移動が太陽系と垂直方向に 限定されることを意味する

銀河内で一方向のみの移動となると

選択肢は限定的だ

だが、そういうものと思うしかない

ダイソン球を建造できるレベルの文明なら 努力すれば作れるだろう

複雑な工程はなく、ただとても大変なだけだ

全速力なら、太陽系は100光年を 2.3億年で移動できるかもしれない

数十億年あれば、銀河内での太陽の軌道を ほぼ制御できるかもしれない

しかし短期的にみると 超新星爆発を回避できるほどには早くない

だからもっといい方法はないか考えた

この動画向けに、より高速なステラエンジンを デザインできないか友人の天体物理学者に頼んでみた

彼は実行し、論文を書き 査読付き雑誌に掲載された

論文は詳細欄にあるソース一覧にも入っている

この新たなステラエンジンをカプランスラスターと呼ぶ (訳者注:友人の天体物理学者の名前がCaplan)

これはロケットのような機構で動く 残り滓を一方に放出し、逆方向に進む

ダイソン球を動力源とする宇宙ステーションであり 太陽から核融合の素材を集め

分子を超高速(光速の約1%)で 太陽系の外部にジェット噴射し

もう一つのジェット噴射で太陽をタグボートのように押す

カプランスラスターは 秒間数百万トンという大量の燃料を必要とする

この燃料を集めるため、巨大な電磁場を作り

太陽風に含まれる水素とヘリウムを エンジンに流し込む

太陽風だけでは燃料が不足するので

ここでダイソン球の出番となる

その力で太陽光を太陽表面に集中させ

一点が極度の高温となることで 太陽の質量を数十億トン持ち上げる

この質量を集め 水素とヘリウムに分ける

ヘリウムは熱核融合炉で燃焼させる

10億度近い放射性酸素がジェット放出され

カプランスラスターの一次動力源となる

太陽への衝突を防ぐため 一定の距離を保つ必要がある

そこで、集めた水素を粒子加速器で加速し

太陽に向けてジェット放出し、バランスをとる

これで太陽との距離を維持すると同時に 不要物を太陽にお返しできる

理論上、100万年を待たずに 50光年を移動できると考えられ

超新星爆発をかわすのに十分である

全速力なら、一千万年で 太陽系の軌道を逆向きにできる

ちょっと待って この方法だと太陽を使い切ってしまわないか?

幸い、太陽の質量はとても大きく、数十億トン といっても表面を引っ掻いた程度のものだ

実際、カプランスラスターは 太陽の寿命を伸ばすだろう

これは質量の低い恒星ほど寿命が長いためで

太陽系に住んでいられる年数は 数十億年伸びるだろう

カプランスラスターがあれば 太陽系全体が宇宙船のようなものだ

例えば軌道を逆走したり

数百、数千の通りすがりの惑星系に移住したり

あるいは天の川銀河からの完全脱出さえも 可能かもしれない

ステラエンジンは数年、数十年などではなく、はるかに長いのスパンを見据える文明が建造するだろう

いつか太陽は死ぬとわかっている

ステラエンジンは遠い未来の子孫たちに

惑星間にある暗黒空間に怯えることなく 星々を旅することを、可能とするかもしれない

ステラエンジンの建造を待っている間は 銀河の海の気まぐれに翻弄される他ないのだ

漂流の結果は好ましくないかもしれない

私達の子孫は帆をかかげ

数百万年にわたり 惑星を行き交う種になるかもしれない

これは人類歴12019年の最後に出す動画となる

すごい1年だった

大量の動画が、あらゆるところで

様々な人々に届けられた

カレンダーや休日は概念にすぎないが 人生を区切り、脳による処理を容易にしてくれる

私達は、幻滅と希望の入り混じった奇妙な感情とともに12019年を終える

世界はグチャグチャにされているが、 なおすこともできる

あと数日で今年は終わり また私たちの挑戦がはじまる

動画を見てくれて、何年も追ってくれてありがとう 12020年にまたお会いしましょう