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ビデオ
転写
今あなたは、生と死の間のはざまにいる
あなたは感じないだろうが
体内ではとてつもない量の活動が行われている
活動が止まることはない
あなたはエスカレータを転がり下ちているばねのようなものだ
落下は、細胞の自己複製のプロセスを表し、
エスカレータは、あなたを動かしている物理法則を表している
生きるということは、常に動いているが、どこにもたどり着かないばねのようなものだ
エスカレータの上についたら、それ以上転がり落ちることはできない
つまり、あなたは死んでしまう
不気味なことに、宇宙はあなたをエスカレータの上に到着させようとする
どうやってそれを回避して、あなたは生きているのでしょうか？
字幕作成者：満留隼人
すべての生き物は細胞からできている
細胞は静かな宇宙の一部であり、
自身を宇宙から切り離して、独自の活動をしている
宇宙との分離が崩れると
細胞は死に、静かな宇宙と合体する
不幸なことに、
宇宙は細胞に独自の活動をしてほしくない
宇宙は活発な活動が嫌いで、できるだけ静かな状態になろうとする
この法則を、エントロピーと言い、
宇宙の根本的なルールだ
それは複雑で、直感的に理解できないので
別の動画で紹介しよう
今知っておくべきなのは、生物は活発な活動をしているということだ
細胞は数百万のタンパク質や、水のような より小さな分子で埋め尽くされている
何千もの複雑な自己複製プロセスが行われており
その数は、一秒に数十万回に達する
生きて、活発に活動するためには
エントロピーに従って、静かになり、死んでしまうことを防ぐために、働き続けなければいけない
細胞は宇宙からの分離を保たなければいけない
分離を保つために、例えば、細胞は過剰な分子を細胞外に排出することによって
物質の濃度を細胞の内外で変化させている
このような活動のために、細胞はエネルギーを必要とする
エネルギーとは仕事をする能力であり
仕事とはものを動かし操ることで、変化を生み出すことである
エネルギーをゼロから生み出したり、消滅させることは不可能で
宇宙にあるエネルギーの合計は変化しない
その理由はわかっていないが、そうなのだ
数十億年前、
最古の生物が直面した重大な問題は、
エネルギーの確保だった
最古の生物については、ほとんど分かっていない
シンプルな化学反応からエネルギーを得ていたということ以外は
彼らは、究極のエネルギー変換システムを見つけた
エネルギーの素となる物質
アデノシン三リン酸(ATP)だ
エネルギーの吸収・放出に適した構造を持つ
エネルギーが必要なとき、
例えば、分子を排出したり、小さな分子を修復したりするとき、
ATPを壊し
放出されたエネルギーを、仕事や変化を起こすために使う
このようにして、生き物は活動を行っている
いつ、どのようにして最初のATPが作られたのかはわかっていないが、
地球上のすべての生物が活動し続けるために
ATPや似た物質を使っている
ATPは、植物、菌、細菌、動物などの大多数の生物が生きるために必要とするほとんど全てのプロセスにおいて重要である
ATPが無ければ、
地球上に生物は存在しない
エネルギーを得るために化学物質を分解するのは良い手段だが、
初期の生命は、最も良いエネルギー源を利用できなかった。
太陽だ
太陽は原子を融合し、光子を放つ
光子が太陽系にエネルギーを届ける
しかし、このエネルギーをそのまま利用することはできない
利用するためには、精製する必要がある
数億年にわたる進化を経て、
細胞は、太陽を利用する方法を発見した
細胞は光を吸収し、
細胞が生きるために利用できる小さな化学物質に変換する
このプロセスを光合成という
電磁気エネルギーで振動している光を吸収し、
その一部を、分子を結合させるために使う
電磁気エネルギーは化学エネルギーに変換され、
ATPに保存される
このプロセスはより良い分子にエネルギーを保管することで
さらに改良された
グルコース、糖だ
分解しやすく高エネルギーで、
しかも、おいしい
これが非常に便利なので、
一部の細胞は、面倒な光合成を自分でやる代わりに、
光合成をする細胞を飲み込み
その細胞のグルコースやATPを摂取するようになった
これは、進化の歴史における最も大きな裏切り行為であると考えられている
進化は続いていき、
光合成をする細胞は、表面で光のエネルギーを受け取るが、
それが、生産できるエネルギー量を制限し、
進化の過程もいくらか制限する
時間が経過し、
ある細胞が糖を作り、
ほかの細胞が、それを食べる
進化はいろいろな影響を与えたが、
数億年にわたって、この仕組みはほどんど変わらなかった
食べた細胞を殺さない細胞が現れるまでは
殺すのではなく、合体して一つの細胞になるのだ
その時は何も変わらなかったが、
地球の歴史は変わった
この細胞は、地球上のすべての生物の祖先となった
クジラ、アメーバ
恐竜、クラゲ
アルマジロ、サンダクルーゴ
もちろん、あなたの祖先でもある
全ての生物はこの瞬間に由来する
２つの生物の合体は非常に重要だ
合体するとより強力になるからである
取り込まれた細胞は
生き残るために努力する必要はない
ATPを作るというただ一つの仕事に集中できる
それは、細胞のエネルギー源となる
最初のミトコンドリアだ
取り込んだ細胞の仕事は、危険な世界の中での生存を保証し、
ミトコンドリアに食料を与えることだ
ミトコンドリアは光合成の逆を行う
とても複雑なプロセスを通して
ほかの生き物を食べて獲得した糖を吸収し、
それを酸素やほかの分子と一緒に燃焼させ
エネルギー豊富な、新しいATPをつくる
このプロセスは小さな炉のようなもので
CO2や水のような廃棄物や力学的エネルギーを放出する
そのエネルギーは、体温として感じられる
この最初の分業は、
細胞が、これまでよりもはるかに多くのエネルギーを獲得することを意味し、
それは、より複雑な細胞へと進化する可能性を秘めている
あるとき、
これらの細胞が集団の形成を始め、
それが多細胞生物へと進化し、
あなたになった
あなたは何兆もの細胞の集まりで、
それぞれの細胞内には、何十もの小さな器官が含まれ、
あなたが生きるために必要なエネルギーを提供している
数分でも、このプロセスが妨げられたら、
死んでしまう
生命がそんなに虚弱なら
ATPを保管すれば良いのではないか
脂肪の中に保管している糖のように
しばらく息ができなくても、生き残るために
生き残るために、様々な問題を解決してきたのなら
なぜ早く死んでしまうのだろうか
e-coliのような単純なバクテリアでも
細胞分裂のたびに、体重の５０倍のATPを生産する
あなたの何兆もの細胞は、生き続けるために大量のATPを必要とする
毎日、あなたの体は900垓(がい)個のATPを生産し、変換している
あなたの体重ほどの重さだ
あなたが一日生きるために、ヒトひとり分のATPが必要なのだ
数分間に必要なATPを保管することでさえ
事実上不可能だ
ATPは素早いエネルギー交換には向いているが、
保存には向いていない
グルコースの1%のエネルギーしか持っていないのに、
重さが３倍なのだから
ATPは常に生産され、素早く消費されている
これが、あなたを静かな宇宙と異なるものにして、エスカレータを下るばねにしている分子の、簡単な説明である
これは、妙な説明だが、
あなたが生きるために必要な分子があり、
動き続けるためにその分子が必要だ
いったん止まると、永久に止まってしまうのだから
しかもあなたはその分子を自分で作らなければいけない
道端のごみを吸い込んで、燃料を作りながら、車を全速力で走らせるようなものだ
私たちの知る限り、それは数十億年前に始まった
静かな宇宙の一部が集まり、
一時的に、別のものになった瞬間に
それは活動を続けることができ、成長できる
その瞬間、バネが動き始め、それ以来バネは動き続けている
最古の細胞から、このビデオを見ているあなたまで
いつか、あなたは静かな宇宙と合体するだろう
宇宙に、あなたの冒険を語るかもしれない
その前に、あなたは生物が最も得意とすることをできる
静かな宇宙をより興味深いものにすることだ
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