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転写
人が行けない場所はあるか
頑張っても届かない場所はあるか
答えは「ある」
SF的な技術があっても
出られない領域がある
それはなぜか
どこまで行けるのか
私たちは天の川銀河にいる
直径約10万光年の渦巻き銀河で
ここにたくさんの星 ガス雲
ダークマター ブラックホール
中性子星 惑星があり
中心には巨大ブラックホールがある
密度が濃く見えるが
実際はほとんどが空の空間だ
現在の技術では近くの星まで
数千年かかる
それくらい銀河は大きい
銀河は他にもある
アンドロメダや他の銀河が合わさり
局部銀河群となり
その直径は1000万光年
ラニアケア超銀河団の中の一つだ
これも超銀河団の中の一つで
それらが宇宙を構成する
ここで 輝く未来が来たと仮定しよう
人類はタイプ3の文明となり
宇宙人にも潰されず
現代物理で可能な技術を発展させた
この場合 どこまで行けるのか?
銀河群の中までだ
これが人類に支配できる最大領域だ
十分広いが これは宇宙全体の
0.00000000001%
でしかない
想像できるだろうか
人類が行けるのは
宇宙の10兆分の1に限られている
これが限界ということは
宇宙の大きな可能性にも
触れられないことになる
なぜそこが限界か
それは無の性質と関係している
空の空間は実際は空ではなく
エネルギーを持っている
量子ゆらぎという現象だ
小さな世界は常に活動し
粒子と反粒子が現れては消えている
この量子的な真空は 言わば
密度の偏った泡だ
ここで 宇宙が真に無だった
138億年前に戻ってみよう
ビッグバン直後 空間は膨張して
宇宙はビー玉大から1兆キロまで
一瞬で広がった
この宇宙の膨張が急激だったため
量子ゆらぎも引っ張られ
その密度の偏りが宇宙に反映された
濃い所と薄い所ができた
膨張後は 重力が物同士を引っ張った
大きい規模では膨張力が強かったが
小さい規模では重力が勝った
そしてその後密度が濃かった所には
現在のような銀河群ができあがった
集まった銀河群は
重力によって繋がっている
では 何が問題なのか
なぜ別の群に行けないのか
ダークエネルギーが原因だ
約60億年前 それは始まった
目に見えない力によって
膨張が加速を始めたのだ
なぜなのかはわからないが
影響は確かにある
最初 銀河群の周りには空間があり
銀河は集団で存在していた
周りにもそんな集団があった
しかしそれらの外の銀河団とは
重力では繋がらないため
宇宙が膨張するほど
その距離は離れていくことになる
ダークエネルギーはこれを加速させ
他の銀河群への旅を不可能にする
数百万光年先の銀河群が
さらに加速的に遠ざかっているのだ
銀河群を出て 闇の中までは行けるが
辿り着く場所はない
一方 時間が経つにつれて
銀河群はより密集し
数十億年後 合体して一つの巨大銀河
ミルクドロメダになる
別のことも起きる
他の銀河群は遠く離れていくと
見えなくなっていく
光子が少なくなり 波長も伸びるため
見づらくなるのだ
やがて外からの情報は届かなくなり
宇宙の景色は変わる
暗くて 何も見えなくなる
永遠に
将来 ミルクドロメダ人は
宇宙はこの銀河だけだと思うだろう
宇宙を見てみても
何もない暗闇があるだけだ
宇宙背景放射もないため
ビッグバンに気づかない
私たちが知ることを知らない
宇宙の膨張も
始まりも 終わり方も
彼らは宇宙は永遠だと考えるだろう
そして孤独なミルクドロメダは
ゆっくり闇に包まれていく
それでもこの銀河群の星は
人間にとって十分多い
まだ太陽系からも出られないが
銀河を旅する時間はたくさんある
私たちは完璧な瞬間に生まれてきた
未来だけでなく過去を見るためにも
銀河群が今の距離だからこそ
宇宙全体が知覚でき
その美しさが理解できる